前回の作戦でフロントフォークからオイルのにじみが出ていたのでオーバーホールすることにした。
古い車両なのでこういう維持整備が欠かせないが、よく売れた車種なので、
実はオークションにもフロントフォークの出品がいくらかあり、なんなら状態の良いものを買ってしまうという手もある。
今回はフロントフォークの構造を理解したいので、オーバーホールすることにした。
ネットで先人たちの記録を見たが、一番苦労しているのはここ。
フォークカバーを外すところのようだ。
車体からフォークを外してしまってからフォークカバーを外そうとしても難しいので、
車体につけたまま作業する。
みなさん、マイナスドライバーなどでこじって外していたようだが、
うちの車体はどう考えても外れそうにない。

写真のようにマイナスドライバーを当ててみるが全然引っかからない。
フォークよりもカバーのほうが低いので、無理なのだ。
そこで、いろいろ考えて

ゴム製のパイプレンチを使うことにした。
しかしまあ、ものすごくかたい!!
正直、ドライバーでこじって外すなんてできないとおもう。カバーを損傷すること疑いなしだ。
ものすごく時間と力をかけながら回すと、徐々にずれてきた。
やった!光が見えた!
コツはパイプレンチとフォークカバーをパーツクリーナーでよく洗浄して油分を除去し、
摩擦がかかってずべらないようにすることと、
引っかかっているとことで一気にグイっと力をかけること
上方向に力をかけながら回すと徐々にずれてきて、やっと外れた。
30分くらいかかったか。
フォークオーバーホールの苦労はここに集中している。
カバーさえ取れたらあとは簡単だ。
車体にフォークが付いた状態のまま、トップカバーを緩めておく。
ここは外してしまわない。緩めるだけ。
ここまで作業してから、
フォークを車体から外す。
フロントタイヤ一式を外して
上10mm 下12mmのボルトを緩めると
フォークが下に抜ける。
一応ジャッキアップしてあるが、フロントホイールとフォークを外していくと、
フロントの重さがなくなるので自然、車体は後ろタイヤ接地してフロントが浮いて来るよ。
外したフォーク。
錆びているところはすこしペーパーで均す。
ダストカバー見てみるとだいぶ劣化しているようだ。
可動部のフォークに錆はないし、オイルの漏れも少ない。
正立フォークなので少々オイルが漏れていようと、まだまだ大丈夫そうだな。
フォークの底を見ると六角レンチで外すボルトが見える。
これがインナーチューブを固定しているので外すのだが、
だいぶ奥まっているので普通の六角レンチでは届かない。
整備小屋を探し回る。
たしか、あったはず…
あったーー。
BMW R1200GSの整備に必要になって、わざわざ買った六角レンチセット。
これなら奥の方まで届く。
フォークをチョイサンタ師にいただいたモンキーレンチで固定して、
ボルトを外す。
フォークのスプリングが内臓されてテンションがかかっている状況なら、これで外れる。
コツは抵抗を感じているところから、グイっと一気に回すこと。
外すとオイルが漏れ出てくる。ドバドバ。
黒い。劣化しているんだろう。
このボルトにはガスケットの役割にもなっている銅ワッシャがついている。
新品に変えておきましょう。
ここでフォークのトップカバーを外しても大丈夫。
外すとばねが出てくる。
オイルを排出して
インナーチューブを抜く。
うちのは内容が全部抜けてきた。
内容が残る場合があるが、ゴムシールを外したら全部出せるよ。
ダストシール外したところ。
アウターチューブ内にオイルシールと固定輪あり。
マイナスドライバーで少し縮めてやると簡単に外れる。
ピンを外したらオイルシールを外す。
けっこう硬い。
ドライヤーで温めてからタイヤレバーで外す。
この写真ではそのままだけど、ウエスなどを覆ってアウターチューブ内を傷つけないようにしましょう。
フォークオイルのドレンボルトも外し、
内部をパーツクリーナーで洗浄する。ここの銅ワッシャも新品にする。
分解は完了!
あとは組み立てだ。
うれしいことに純正部品で40年前のバイクのパーツが買えた(笑)
ダストシールとオイルシール、左右。
グリスでよく潤滑させておいて、はめ込んでいく。
32mmのソケットでは大きかったので、24mmでゆっくり叩き込んだ。
30mmくらいが良いかも。
ピンを付ける。
洗浄したから内部きれいだなあ。
差し込むインナーチューブたちも洗浄し、
グリスで潤滑させたダストシールをインナーチューブにはめてから
元通りに差し込んでいく。
オイルを探したら、ずいぶん前に使用したYAMAHAサスペンションオイルが出てきた、
残り少なかったので、新しくYAMAHAサスペンションオイルを買ったら缶デザインが変わっていた。
オイル量は142mlらしい。
無事に完成した。
左右ともに作業したが、サクサク進むので楽しい。
車体に取り付けてからフォークのトップカバーを本締めして、
フォークカバーをこれまたパイプレンチではめ込んでいく。
CRCで潤滑させて入れていくので、外す時よりは容易くはめられた。
完成!
走ってみたが、オーバーホールする前と後で全然走りは変わらない。
もともと走りに問題になるような状況までオイルが漏れていたわけではないからね。
フォークのオイルにじみは全くなくなったぞ。
最後に切れていたリアテールランプを交換して、
フロントブレーキをグリスアップした。
何かと維持整備案件が出てくるこの車体はなかなか面白い。