セルスタートが空回りする諸氏に…スターターピニオンのこと。
セルが空回りするというような症状の相談をされたため、セルモーターがクランクを回す仕組みの一部
スターターピニオンギアについて書いてみる。
チョイノリの駆動系ケースを外す。
ここは10mmのボルト5本で留められてる。左上に位置するボルトはアース線二本が共締めされていること、
また左下に位置するボルトはキャブからのドレンチューブが留められていることに注意しましょう。
位置合わせの金属筒が二か所はめられているが、古い車両ではこれが錆び付いていて、開けるのが難しいものもある。ひどい場合はケースのノリシロをぶったたいて外してくれ。
開けたところ、
赤い丸がクランクにつながる部分で、奥にプーリーがあります。
黄色い丸がセルモーターにつながるギア。
この二つのギアはこの状態では噛み合っていません。
なぜかというと…
走行状態では赤丸がグルグル回っていて、Vベルトを介して青丸(クラッチ)を回し、チェーン→後輪という風に駆動力を伝えていって走行しているのですが、
赤丸と黄色丸のギアが噛みあっていると、ずっとセルモーターが回ることになり、エンジンにとって負荷であり、モーターにもよくないからです。
つまり、セルモーターが回った時だけ黄色丸と赤丸が噛みあうような仕組みが必要。
そのために
黄色丸の部分のパーツ。スターターピニオンギアがあります。
黄色矢印がセルーモーターからの動力入力ギアで、赤矢印がクランクギアに繋がるギア。
このパーツは
通常はこの状態ですが、セルモーターが回った時だけ、
回転の慣性力がかかって中間部分のギアが先端方向へ押し出されてクランクギアに繋がる仕組みになっています。
セルモーターが止まるとバネの力で元の位置に戻ります。
ということで、空回りの原因はこのギアの錆び付き、動きの渋さが原因ではないかと考えられます。
ちゃんとクランクギアへ動力が繋がっていると、
トウシャンシャンシャンという風にクランキングしている音が聞かれますが、
このスターターピニオンギアが錆び付いていると、セルを回しても中間のギアが先端方向へ動かず
セルがむなしく回るだけ、ウーーーーーーンというモーター音だけになります。
はちまるが自車をセル化したときにも、古いエンジンだったらしくセルが空回りしていましたが
このピニオンギアにCRCを吹いて動きをよくしたところ繋がるようになりました。
空回りが多い方は試されてみてはと思います。
ちなみに、このパーツ、いろんな車種(原付スクーター)で全く同じような形、サイズをしています。
試しにオークションで「スターターピニオン」と入れて見ると、
ディオ パル ジョルノ レッツ アドレス セピア ジョグ。みんなおんなじ形だ~
メーカーを超えた流用なのですかね~??
2015.08.05追記
同じような症状として、バッテリーがプラスとマイナス逆につながっているとモーター逆回りで空転します。
あとバッテリーの電力切れでは
ジジジ ジジジという音だけでモーターさえ回りません。
参考にしてください
チョイノリ整備のバイブルはこれ